医療費が気になって受診を控えている人はいませんか
無料低額診療事業は生活困難な方が経済的な理由によって、必要な医療サービスを受ける機会を制限されることのないよう、無料または低額な料金で医療の利用を行うものです。ご近所やお知り合いに困っている方がおられたら、まずはご相談ください。治療を受けながら今後について一緒に考えましょう。
生活に困窮して宮崎生協病院に相談された方の事例を以下に紹介します。
昨年春のコロナ禍での事例です。Aさんは飲食店にアルバイトで勤めていましたが、コロナ感染拡大に伴い集客が減り解雇されてしまいました。その後Aさんは発熱。病院を受診したいものの所持金が1,000円未満だったため市役所に電話したところ、生活困窮者自立支援制度の相談窓口へ連絡するよう言われたそうです。
ところが、自立支援制度の相談窓口は本人と面談することなく、生活保護課を紹介することもなく、無料低額診療事業を行っている当院へ行くよう伝えただけでした。
Aさんは当院の発熱外来を受診。カゼ症状だけでなく血液検査でも異常値があり、即入院が必要な状態でした。新型コロナのPCR 検査結果判定2日後に入院を予定し、一旦帰宅して頂くことにしましたが、とにかくお金がなくその日の食事にも事欠く状態です。MSWが生活保護課へ電話相談しましたが、生活保護課からは「熱が治まってからの来所として欲しい」との返答。刻一刻を争うため生活保護申請をMSW が代行。新型コロナのPCR検査は陰性だったので、予定通り2 日後に入院。その後、生活保護受給が正式に決まり、退院後も安心して生活できるようになりました。
未知の感染症への対応を恐れてのことかもしれませんが、無料低額診療事業だけでは所持金が1,000円未満の方の生活を支えることはできません。最低限度の生活を保障する対応を国・行政により一層求めます。
宮崎生協病院
ソーシャルワーカー
石川 智恵美(MSW)