医療・介護・年金など政府と厚生労働省がすすめる社会保障制度の切り捨て路線は始まったばかりです。しかし今後更なる国民の安全・安心の医療を奪うものとなっていきます。
権利としての社会保障制度が大きく変質させられようとしています!
「社会保障のため」といって消費税を上げたのは2014年の4月、結局のところ「社会保障の充実」に使われたのは増収分の16%でした(残りのほとんどは今までの所得税・法人税で賄ってきた財源に置き換え)。安倍政権の医療・介護改悪で2015年度は3900億円の社会保障削減となっています。政府は「給付と負担のバランス」と説明しますが、消費税で暮らしが苦しくなった上に、社会保障の削減『①65歳以上の介護保険料のアップ、②介護利用料も2割負担導入、③70歳からの医療費窓口2割負担、④入院費の値上げ(ひと月18、000円増)など』となると、病気になっても安心して治療を受けることが困難になることは目に見えています。まさに権利としての社会保障であるべき制度が、政府・厚労省によって、「自助・共助としての保険・扶助」に大きく変質させられようとしています。本来の社会保障とは人権(誰もが安心して医療を受ける権利)そのものであり、医療は国民・庶民の手に普段にあるものです。
高齢者のくらしの保障基盤となる年金はどうなるの?
今国会で政府は、国民健康保険を都道府県単位化へ移管しようとしています。将来的には、すべての保険者を「地域分権」の名のもとに都道府県単位で統合し、県単位の責任のもとサービスを実施することを目指していると思われます(県単位で医療費・サービスの負担と給付を調整させる)。また高齢者のくらしの保障基盤となる年金を政府は、年金の支給額を物価や賃金の上昇以下に抑える仕組み「マクロ経済スライド」を導入しました。
これまでは物価と年金は連動し、物価が上がれば年金も上がり、物価が下がれば年金も下がっていました。つまり物価連動で毎年の年金額が決まっていました。しかし今年の4月からは物価と年金は連動させない、簡単に言うと物価が1%あがっても年金は0.5%にとどめる、つまり実質の目減りとなるのです。その結果、30年後の国民年金は3割程度、厚生年金は2割程度目減りすると予想されます。2017年には、消費税10%(2017年4月実施予定)が強行されれば暮らしと景気はさらに悪くなると予想されます。
介護保険料年額は300円値上がり!
今年度の宮崎市国民健康保険税(料)については昨年と変わりませんが、国保の保険者が市町村から都道府県に移管されれば2018年度より地域性を考慮した保険料に変更する予定です。65歳以上の介護保険料年額(基準額)は、6万5、400円から300円上がり6万5、700円となります。また4月開始の子育て新制度は、多くの自治体が保育料の値上げをおこなう予定です。月1万円も値上げする自治体も出ています。(*宮崎市は年間7000万円の予算を計上し 利用負担増に対応する予定です)
宮崎民医連事務局長 仁田脇弘文