宮崎生協病院
病院感染対策委員会委員長
医師 三宅 知里
新型コロナウイルス感染症に関わる記事は今回で3回目です。すっかりコロナ感染予防対策を行いつつの生活に慣れましたね(慣れたくはないですが)。
さて、世界でも、全国でも、宮崎でもオミクロン株が大流行の1月にこの記事を書いています。連日テレビなどで報道されている通り「感染は広まりやすいが、重症化はしにくい」というのは臨床現場でも同じ印象です。全く症状がないわけではなく、ワクチン接種された方は、熱と咽頭痛などが中心で、以前のような味覚・嗅覚障害や強い倦怠感は少ないようです。ただし、ワクチン未接種の方はやはり症状の程度が重く、ワクチンの効果を実感しています。ワクチンを2回接種していても感染してしまうブレイクスルー感染は増えていますが、「症状を軽く+重症化や死亡を減らす」という効果は十分に保たれていますし、3回目のブースター接種により感染予防の効果も期待できるため、接種クーポンが届いたら早くワクチンコールセンターなどで予約を行い接種されることを強く勧めます。
また、発症までの期間が従来は約5日でしたが、オミクロン株では約3日と短くなっています。そのためか、感染拡大のスピードが早く、患者さんや濃厚接触者の数が急増しています。患者数が増えれば、重症化しにくいと言っても重症者が増えることになるため、一気に入院医療機関が満床になることもあり得ます。今回の第6波で違うのは、コロナと闘う武器が増えたことです。重症化リスクのある方にしか使用できませんが、中和抗体薬など高い効果を期待できる薬が承認され、入院に至ることを減らすことができると考えられます。さらに、感染の収束がデルタ株の時よりも早いことが予想されています。
個人でできる感染対策はこれまでと変わりません。マスク、手洗い、流行時には他人との接触を減らす、そしてワクチンです。少しずつコロナへの対応が変わってきて、従来の生活を取り戻せるのも遠くないのではないかと思っています。一緒にもう一辛抱しましょう。みなさんと楽しい組合員活動ができることを楽しみにしています。