便潜血検査を受けていますか?
宮崎生協病院 外科
松田 隆志医師
こんにちは。外科の松田です。今回は大腸がんについてお話をします。
みなさんは大腸がんに対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。やはり〝がん〞ということで、罹患したら治らないというイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。もちろん全てではないですが、早期発見・早期治療ができれば、大腸がんは治すことのできる病気なのです。
「まずは検診を」
現在、食生活の欧米化や超高齢社会などにより、大腸がんの罹患数は年々増加傾向です(図1)。そして、男女ともに上位を占めるがんとなります。では、大腸がんはどのように発見すればよいでしょうか。いろいろありますが、まずは検診を受けることが大切です。大腸がんを見つけるための検診には、便潜血検査、注腸造影検査、全大腸内視鏡検査(大腸カメラ)などいくつか種類があります。大腸カメラなど人によってはハードルの高い検査もあると思います。しかし、誰でも簡単に、かつ、痛みも感じずに受けられるのが〝便潜血検査〞です。
「便潜血について」
便潜血検査は、便の中に含まれる目には見えない微量の血液を調べる検査です。通常、検診では2日間採便をしていただきます。なぜなら、1回の採便で大腸がんが見つかる確率は45%程度ですが、2回調べると見つかる確率が70%と高くなります。1回の検診で便潜血検査を行うと、1000人中50人が陽性となり、そのうち1〜2人が大腸がんの診断となります。大腸がんは進行が遅いことが多く、便潜血検査を3年受ければ97%のがんを見つけることができると言われ、毎年便潜血検査を受けると大腸がん死亡リスクは60〜70%減少すると言われています。
便潜血検査で陽性となった場合、通常は大腸カメラでさらに詳しく検査をします。この検査は、肛門から内視鏡を挿入して大腸全体を観察し、ポリープやがんを探すものです。いずれ、がんになる可能性のあるポリープは大腸カメラで切除し、がんの可能性のある部分には組織を一部採取する生検を行い、どちらも病理組織学的検査(顕微鏡で詳しくみる検査)により、〝がん細胞〞がいないかを確認します。ここで、がん細胞が発見された場合は、大腸がんと診断されることになります。(おげんきですか2面に続きます)